東洋医学は何で治るの?

東洋医学と氣 ー目に見えない力の解明

東洋医学において「気」という言葉は非常に重要な役割を果たしますが、「気」は西洋医学には存在しない概念です。

東洋医学とは、東洋の思想に基づき、人体の構造や機能に関する知識を基礎として、病気の原因、その治療法・予防法などを研究する学問です。その思想の根幹にあるのが「気」です。「気」とは、意義が非常に広範であり、その概念も多様です。

古代中国の医学書には、

「生命現象のすべては気の現れであり、自然の影響を受けるから自然に従うことが肝心で、自然に逆らったりして気に変動を生ずると発病する」
「気は人の根本なり、根絶するときは茎葉枯れる」

などと書かれており、人の生命の根本が「気」であるとされています。

しかし、今日の医学の主流となっている西洋医学では「気」という概念がないため、東洋医学を論じる際に混乱が生じることがあります。

鍼灸治療とは、経絡上にあるツボを刺激し、「気」の流れを整え、臓器の調整を行い、病気を改善させる方法です。「経絡」や「経穴(ツボ)」についてはまだしも、「気」という目に見えない概念をしっかりと理解している人は多くはないでしょう。

2018年に販売された『閃け経絡』という本には、「気」の概念のヒントとなるものが書かれていました。トカゲの体には微弱な電流が流れており、しっぽが切れたとき、この電流が逆流して、壊れた皮膚、神経、筋肉、骨などの組織を再生させるとあり、この微弱な電流が「気」であると筆者は説いています。

微弱な電流は、ファッシアと呼ばれる筋膜の表面を滑るように流れています。ファッシアはコラーゲンを主要成分としており、物質を通さず、圧力をかけると電流を発し、表面は電気を滑らす構造を持つ膜です。

神経も電流が流れていることは広く知られています。ファッシアは古代中国の人体の「気」の路線図に相当し、経絡に合わせて各部位が覆われており、その境目に多くの経穴が分布していることが分かっています。

ファッシア表面の内外にはナトリウムやカリウムなどのイオンが満たされており、この膜が壊れるときにイオン差による電流が引き起こされます。鍼灸治療は、鍼や灸でファッシアを突き破ることで「気」の流れを調節し、病気を治療していると考えられます。

マラソンなどの運動後、マイクロカレントで微弱な電流を流し、筋肉の損傷や疲労回復を促進する方法も、実は「気」の調整を行い、症状の改善を行っていると考えられます。

ただし、「気」を体内に流れる電流だけと考えると、発せられる声や体から放出される熱、全身を流れる血液など、東洋医学での思想として重要視されている「気」についての理解が不十分です。

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