骨盤位(逆子)

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骨盤位(逆子)って?

逆子は医学的には「骨盤位」といいます。逆子になる原因はいろいろな事が考えられます。日常の生活動作で一番多いのは、お腹を圧迫する姿勢です。それにもましてよくない原因、それは冷えです。水周りの仕事はたくさんの冷えを受けやすい環境にありますから要注意です。薄着やクーラーも冷えの原因です。最近はさらしをまかず、腰周りや太ももを保護していない妊婦さんが大変多いように思います。身体が冷えるという事に無頓着な妊婦さんは、冷たい飲み物や食べ物の飲食が多く、暑い時期に、冷やし中華・冷麦・そうめん・ざるそば・ゼリーなどを常食し、氷まで食べているほどです。

妊婦さんの体が冷たいと、胎児は温かい心臓のほうへ頭を向けようとします。この行動が逆子の始まりと考えています。

骨盤位(逆子)治療

治療する時期に一定の条件があります。最も有効な期間は28週~32週です。胎児の状況によっては26週からでも可能です。赤ん坊は大きくなりはじめると子宮の中でくるくる回っています。25週以下では治療してもすぐ戻ってしまいます。医師もあまり逆子について問題視しない事と思います。胎盤の剥離も考慮し25週以下では行わないようにするのが通常です。

さて、それでは鍼灸治療で逆子が治療回数は、データーの採り方にもよりますが、

1回目の治療で約30%矯正成功
(約1時間以内から当日夜もしくは翌日)
2回目の治療で約30%矯正成功
(2度目の来院時に判明する者を含む)
3回目~5回目の治療で約30%矯正成功

と考えています。

しかし、鍼灸治療をして一向に胎児の動きに変化がない場合は、

  1. 臍帯が長く(1m以上)赤ちゃんの首に巻きついたため(くるくる回りすぎたため)
  2. 臍帯が短すぎるため(30cm以下)
  3. 前置胎盤の人
  4. 赤ちゃんがあぐらをかいて正面を向いている
  5. 重篤な病気にかかっていることが胎児に生じている

ことなどが考えられます。

以上の状態は、出産にあたり胎児の状態を確認するためにするレントゲン撮影で判明したり、帝王切開したりして初めてわかるものであり、触診では困難です。

また、冷えが強いお母さんの場合、5回の治療で取り除くことが困難なことも逆子を矯正できない理由の一つと考えておりますが、来院したお母さんにはそこで諦めないように伝えています。その理由は、陣痛が始まったときに起こる強い子宮の収縮により、逆子が改善される事があるからです。足の小指にある「至陰」というツボにお灸を40週まで続けると、冷えが解消され、子宮が柔軟になりますのでその確率はぐっと高くなります。

胎児の姿勢(お尻から出てくると)によっては逆子のまま出産する事も可能です。人事を尽くして天命を待つ。赤ちゃんに一生懸命語りかけ精一杯の事をすれば、赤ん坊がそれに応えてくれるのではないか思っています。

逆子にならないためには…

講習や専門書をご覧になった方ならご存知かと思いますが、妊婦が体を冷やしてはいけない理由について説明いたします。

  1. 妊娠中毒になりやすい
  2. 胎児の成長が悪くなる可能性がある
  3. 羊水の量が減少し、赤ちゃんが適切な環境で成長できなくなる
    (これにより、胎児の安全性にも問題が生じることがあります。)
  4. 微弱な陣痛が起こりやすくなる
  5. 出産に時間がかかりすぎる可能性があり、母体の体力が消耗し危険にさらされることがある
  6. 陣痛促進剤の使用が必要になる可能性が高まる
  7. 帝王切開が必要になる可能性が高くなる
  8. 死産のリスクが高まる
  9. 母乳の出が悪くなり、人工乳を使用せざるを得ないことがある
  10. 出産後の体力の回復に時間がかかることある
  11. 逆子になりやすくなる

これらの理由から、妊婦さんの体を冷やすことは避けるべきです。体を冷やして生じた症状を薬で解消することには問題があります。胎児への影響を考慮すると、鍼灸治療が選択肢としてお勧めされます。妊婦の健康管理は、お子さんの未来にも関わる重要な要素です。

逆子に関して言えば、体の冷えは足元から入りやすいですが、太ももやお尻、お腹が冷えると赤ちゃんは頭部が冷えすぎるのを避けるために自然とひっくり返ろうとします。これは本能的な反応と考えられます。したがって、体を冷やすことを止めないと元に戻りにくい状態になる可能性があります。

逆子を治療するための「逆子体操」がありますが、しっかりした指導を受けられれば良いのですが、妊婦が運動することには強度や回数に抵抗があり、その効果は限定的なようです。

昨今は手技による回転術も行いますが、これには熟練が必要であり、胎盤の剥離を起こさないように慎重に行われます。だだし、この技術を持っている人は今日ではかなり限られているものと考えられます。

当院では、手技による回転術以外には、逆子の治療においては鍼灸治療が最も効果的であると考えられます。実際、鍼灸治療における骨盤位(逆子)の有効性は医学博士の称号を持つ医師からも認められており、現代医学界でもその効果が認識されています。治療により子宮の筋肉が収縮し、胎児を通常の位置に戻す力が生じます。お母さんの持つ、自然な力を利用するため、安全性も高いです。

「気を強く持つこと」が東洋医学の根幹です。当院では多くの方に東洋医学の素晴らしさを正しく理解し、治療を受けていただきたいと考えています。