脾経のツボ ー東洋医学における脾経の異常と重要なツボ
足の太陰脾経のツボの位置と効能、鍼灸の刺激法
井穴
【位置】足の第1指、末節骨内側、爪甲角の近位内方0.1寸(指寸)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
【主治】腹部膨満、不正子宮出血、癲狂、多夢、小児のひきつけ。
【操作】鍼は直刺で0.1寸。または点刺して瀉血。灸も可。
栄穴
【位置】足の第1指、第1中足指節関節の遠位陥凹部、赤白肉際。
【主治】腹部膨満、胃痛、熱病で汗が出ないもの。
【操作】鍼は直刺で0.2~0.4寸。灸も可。
兪穴・原穴
【位置】足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際。
【主治】胃痛、腹部膨満、身体の重い感じ、赤痢、便秘、吐き下し、脚気。
【操作】鍼は直刺で0.5~0.8寸。灸も可。
絡穴
【位置】足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際。
※太白(SP3)から近位に向かって擦上すると陥凹を触れる。第1中足骨底部の遠位陥凹部にある。
【主治】胃痛、嘔吐、腹鳴、腹部脹満、下痢、赤痢。
【操作】鍼は直刺で0.5~0.7寸。灸も可。
【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上方3寸(約9㎝)。
※交信(KI8)の上方1寸にある。
【主治】腹部膨満、腹鳴、下痢便、消化不良、月経不順、不正子宮出血、帯下、子宮下垂、無月経、月経痛、不妊症、難産、遺精、陰部痛、疝気、排尿困難、遺尿、下肢麻痺、動悸、不眠症。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後縁、内果尖の上方6寸(約18㎝)。
※三陰交(SP6)の上方3寸にある。
【主治】腹部膨満、腹鳴、排尿困難、大腿部・膝部の冷えと麻痺。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
郄穴
【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後方、陰陵泉(SP9)の下方3寸(約9㎝)。
※内果尖と膝蓋骨尖を結ぶ線上で、膝蓋骨尖から1/3にある。
【主治】腹部脹満、食欲不振、赤痢、月経不順、排尿困難、遺精、浮腫。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可
合穴
【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部。
※脛骨内側縁に沿って近位へ擦上すると、膝関節の下に陥凹部を触れる。脛骨内側顆下縁と脛骨後縁の角の陥凹部にある。
【主治】腹部膨満、浮腫、黄疸、下痢、排尿困難または失禁、陰部痛、遺精、膝部の疼痛。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】大腿前内側、内側広筋隆起部、膝蓋骨底内端の上方2寸(約6㎝)。
【主治】月経不順、月経痛、不正子宮出血、大腿内側部痛、風疹。
【操作】鍼は直刺で0.7~1.2寸。灸も可。
【位置】下腹部、臍(へそ)中央の下方4.3寸(約13㎝)、前正中線の外方4寸(約12㎝)。
【主治】腹痛、疝気、痞塊。
※疝気:腰や下腹の内臓が痛む病気。
※痞塊:腹のなかに塊のようなものがあって痛む病気。冷えが原因。
【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。
【位置】下腹部、臍(へそ)中央の下方1.3寸(約4㎝)、前正中線の外方4寸(約12㎝)。
【主治】臍周辺の腹痛、疝気、下痢。
【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。
☆大包:脾の大絡。全身に巡る気血を統括し、臓腑四肢、つまり全身にくまなく滋養をする働きがある経穴。
【位置】側胸部、第6肋間、中腋窩線上。
※側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線上と第6肋間の交点にある。
【主治】胸脇部痛、喘息、全身の疼痛、四肢の脱力感。
【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺は不可。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。
東洋医学でいう脾の臓とは、現代医学でいう脾臓のことだともされています。この脾の臓と胃の腑は表裏一体で機能し、お互いに助け合っていると考えられています。脾の臓の働きは、胃で消化したものをここで吸収し、全身にエネルギーとして配分します。したがって、現代医学でいう脾臓ではなく、膵液を分泌し、インシュリンを内分泌する膵臓にあたると考えるのは妥当であります。
・舌がこわばる
・みぞおちから胃のあたりが重苦しい、痛い
・時々吐き気がして、げっぷが出る
・わき腹が張る
・下痢や便秘で悩む
などは脾経の異常よることが多い症状です。
「三陰交」は脾経における代表的なツボです。