足の太陰脾経

足の太陰脾経
足の太陰脾経

足の太陰脾経のツボ一覧
(全21穴)
位置・効果・鍼灸法を解説

足の太陰脾経 は、東洋医学において、消化吸収の要である「脾」と深く関わる重要な経絡です。現代医学でいう膵臓に近い働きをするとも考えられ、飲食物からエネルギーを生み出し、全身に配分する役割を担っています

  • 舌がこわばる
  • みぞおちから胃のあたりが重苦しい、痛い
  • 時々吐き気がして、げっぷが出る
  • わき腹が張る
  • 下痢や便秘で悩む

などは脾経の異常よることが多い症状です。

三陰交さんいんこう」は脾経における代表的なツボです。

足の太陰脾経のツボの位置と効能、
鍼灸の刺激法

脾経のツボ

SP1  隠白いんぱく (井穴
SP2  大都だいと (栄穴
SP3  太白たいはく (兪穴原穴
SP4  公孫こうそん (絡穴
SP5  商丘しょうきゅう (経穴
SP6  三陰交さんいんこう
SP7  漏谷ろうこく
SP8  地機ちき (郄穴
SP9  陰陵泉いんりょうせん (合穴
SP10 血海けっかい
SP11 箕門きもん
SP12 衝門しょうもん
SP13 府舎ふしゃ
SP14 腹結ふくけつ
SP15 大横だいおう
SP16 腹哀ふくあい
SP17 食竇しょくとく
SP18 天渓てんけい
SP19 胸郷きょうきょう
SP20 周栄しゅうえい
SP21 大包だいほう

SP1 隠白(いんぱく)

足の太陰脾経の始点:足の親指の内側爪角にあるツボ「隠白 (SP1)」の位置と指圧方法の図

 井穴

【位置】足の第1指、末節骨内側、爪甲角の近位内方0.1寸(指寸)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

【主治】腹部膨満、不正子宮出血、癲狂、多夢、小児のひきつけ。

【操作】鍼は直刺で0.1寸。または点刺して瀉血。灸も可。

SP2 大都(だいと)

足の親指の付け根、内側にあるツボ「大都 (SP2)」の場所を示す経路図

 栄穴

【位置】足の第1指、第1中足指節関節の遠位陥凹部、赤白肉際。

【主治】腹部膨満、胃痛、熱病で汗が出ないもの。

【操作】鍼は直刺で0.2~0.4寸。灸も可。

SP3 太白(たいはく)

脾経の原穴「太白 (SP3)」:足内側の関節下の窪みを示す図。消化器系の原穴。

兪穴原穴

【位置】足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際。

【主治】胃痛、腹部膨満、身体の重い感じ、赤痢、便秘、吐き下し、脚気。

【操作】鍼は直刺で0.5~0.8寸。灸も可。

SP4 公孫(こうそん)

足の内側にある絡穴「公孫 (SP4)」の正確な位置図。胸部と胃腸の調整。

 絡穴

【位置】足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際。
 ※太白(SP3)から近位に向かって擦上すると陥凹を触れる。第1中足骨底部の遠位陥凹部にある。

【主治】胃痛、嘔吐、腹鳴、腹部脹満、下痢、赤痢。

【操作】鍼は直刺で0.5~0.7寸。灸も可。

胃弱(胃のもたれ・胸やけ)
慢性の下痢

SP5 商丘(しょうきゅう)

内くるぶしの前下、腱の窪みにあるツボ「商丘 (SP5)」の解剖学的図

 経穴

【位置】足内側、内果の前下方、舟状骨粗面と内果尖の中央陥凹部。
 ※内果前縁の垂線と内果下縁の水平線の交点にある。
 ※中封(LR4)の後、照海(KI6)の前にある。

【主治】腹鳴、腹部膨満、舌根部のこわばり・疼痛、便秘、下痢、倦怠感があり寝てばかりいるもの、足果部の疼痛。

【操作】鍼は直刺で0.2~0.3寸。灸も可。

SP6 三陰交(さんいんこう)

脛骨後縁に位置する婦人科の要穴「三陰交 (SP6)」の位置と指圧図。

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上方3寸(約9㎝)。
 ※交信(KI8)の上方1寸にある。

【主治】腹部膨満、腹鳴、下痢便、消化不良、月経不順、不正子宮出血、帯下、子宮下垂、無月経、月経痛、不妊症、難産、遺精、陰部痛、疝気、排尿困難、遺尿、下肢麻痺、動悸、不眠症。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

月経困難症 (生理痛)

SP7 漏谷(ろうこく)

内くるぶしの上方、脛骨にあるツボ「漏谷 (SP7)」の位置図

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後縁、内果尖の上方6寸(約18㎝)。
 ※三陰交(SP6)の上方3寸にある。

【主治】腹部膨満、腹鳴、排尿困難、大腿部・膝部の冷えと麻痺。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

SP8 地機(ちき)

陰陵泉(SP9)の下にある、急性症状に対応するツボ「地機 (SP8)」の図

 郄穴

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後方、陰陵泉(SP9)の下方3寸(約9㎝)。
 ※内果尖と膝蓋骨尖を結ぶ線上で、膝蓋骨尖から1/3にある。

【主治】腹部脹満、食欲不振、赤痢、月経不順、排尿困難、遺精、浮腫。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可

SP9 陰陵泉(いんりょうせん)

脛骨内側縁の窪みにある湿邪の特効穴「陰陵泉 (SP9)」の位置図。

 合穴

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部。
 ※脛骨内側縁に沿って近位へ擦上すると、膝関節の下に陥凹部を触れる。脛骨内側顆下縁と脛骨後縁の角の陥凹部にある。

【主治】腹部膨満、浮腫、黄疸、下痢、排尿困難または失禁、陰部痛、遺精、膝部の疼痛。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

冷え症
こむらがえり

SP10 血海(けっかい)

大腿内側、膝の上にある血の調整穴「血海 (SP10)」の正確な位置図。

【位置】大腿前内側、内側広筋隆起部、膝蓋骨底内端の上方2寸(約6㎝)。

【主治】月経不順、月経痛、不正子宮出血、大腿内側部痛、風疹。

【操作】鍼は直刺で0.7~1.2寸。灸も可。

更年期障害

SP11 箕門(きもん)

大腿内側部、鼠径部近くにあるツボ「箕門 (SP11)」の位置図

【位置】大腿内側、膝蓋骨底内端と衝門(SP12)を結ぶ線上、衝門(SP12)から1/3、縫工筋と長内転筋の間、大腿動脈拍動部。

【主治】尿閉、遺尿、鼠径部の腫脹・疼痛。

【操作】鍼は直刺で0.8~1.2寸。温灸3~10分。

SP12 衝門(しょうもん)

鼠径靭帯上の脈所にあるツボ「衝門 (SP12)」の位置図

【位置】鼡径部、鼡径溝、大腿動脈拍動部の外方。
 ※曲骨(CV2)と同じ高さ、府舎(SP13)の内下方にある。

【主治】腹痛、疝気、尿閉。

【操作】鍼は直刺で0.5~0.7寸。灸も可。

SP13 府舎(ふしゃ)

腹部の恥骨結合外側にあるツボ「府舎 (SP13)」の位置図

【位置】下腹部、臍(へそ)中央の下方4.3寸(約13㎝)、前正中線の外方4寸(約12㎝)。

【主治】腹痛、疝気、痞塊。
 ※疝気:腰や下腹の内臓が痛む病気。
 ※痞塊:腹のなかに塊のようなものがあって痛む病気。冷えが原因。

【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。

SP14 腹結(ふくけつ)

腹部の臍の横にあるツボ「腹結 (SP14)」の位置図

【位置】下腹部、臍(へそ)中央の下方1.3寸(約4㎝)、前正中線の外方4寸(約12㎝)。

【主治】臍周辺の腹痛、疝気、下痢。

【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。

SP15 大横(だいおう)

腹部の臍の外側、腹直筋外縁にあるツボ「大横 (SP15)」の位置図

【位置】上腹部、臍(へそ)中央の外側4寸(約12㎝)。
 ※天枢(ST25)、肓兪(KI16)、神闕(CV8)と同じ高さ。それらの外方にある。

【主治】赤痢、下痢、便秘、下腹部痛。

【操作】鍼は直刺0.7~1寸。灸も可。

SP16 腹哀(ふくあい)

上腹部、臍の上部にあるツボ「腹哀 (SP16)」の位置図

【位置】上腹部、臍(へそ)中央の上方3寸、前正中線の外方4寸(約12㎝)。
 ※大横(SP15)の上方3寸、建里(CV11)と同じ高さにある。

【主治】腹鳴、腸鳴、消化不良、便秘、赤痢。

【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。

SP17 食竇(しょくとく)

胸部の肋骨間、乳房の下にあるツボ「食竇 (SP17)」の図

【位置】前胸部、第5肋間、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※食竇(SP17)、乳根(ST18)、歩廊(KI22)は、第5肋間の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸脇苦満、腹部が膨満し雷鳴のような音のするもの、腹部振水音、翻胃、噯気。
 ※翻胃:朝食べたものを夕方に吐き、夕方に食したものを朝に吐く。
 ※噯気(おくび):胃の中にたまったガスが、口外へ出たもの。げっぷ。

【操作】鍼は斜刺で0.3~0.5寸。肺臓があるので直刺しない。灸も可。

SP18 天渓(てんけい)

胸部、乳房の外側にあるツボ「天渓 (SP18)」の位置図

【位置】前胸部、第4肋骨、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※天渓(SP18)、乳中(ST17)、神封(KI23)は、第4肋骨の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸部膨満、咳嗽、乳部腫瘍、乳汁分泌不全。

【操作】鍼は斜刺で0.3~0.5寸。灸も可。

SP19 胸郷(きょうきょう)

	胸部の肋骨間にあるツボ「胸郷 (SP19)」の位置図

【位置】前胸部、第3肋間、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※胸郷(SP19)膺窓(ST16)、霊墟(KI24)は、第3肋間の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸脇支満、咳嗽。

【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺はしない。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。灸も可。

SP20 周栄(しゅうえい)

胸部、第二肋骨間にあるツボ「周栄 (SP20)」の位置図

【位置】前胸部、第2肋間、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※周栄(SP20)、屋翳(ST15)、神蔵(KI25)は、第2肋間の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸脇支満、咳嗽。
 ※胸脇支満:季肋部から脇腹が膨満し、圧迫感があって苦しい状態。

【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺は不可。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。灸も可。

SP21 大包(だいほう)

腋窩線上の肋骨間にある脾経の終点「大包 (SP21)」の位置図。全身の絡脈を主る。

☆大包:脾の大絡。全身に巡る気血を統括し、臓腑四肢、つまり全身にくまなく滋養をする働きがある経穴。

【位置】側胸部、第6肋間、中腋窩線上。
 ※側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線上と第6肋間の交点にある。

【主治】胸脇部痛、喘息、全身の疼痛、四肢の脱力感。

【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺は不可。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。

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