足の太陰脾経

足の太陰脾経
足の太陰脾経

東洋医学でいう脾の臓とは、現代医学でいう脾臓のことだともされています。この脾の臓と胃の腑は表裏一体で機能し、お互いに助け合っていると考えられています。脾の臓の働きは、胃で消化したものをここで吸収し、全身にエネルギーとして配分します。したがって、現代医学でいう脾臓ではなく、膵液を分泌し、インシュリンを内分泌する膵臓にあたると考えるのは妥当であります。

舌がこわばる
みぞおちから胃のあたりが重苦しい、痛い
・時々吐き気がして、げっぷが出る
わき腹が張る
下痢便秘で悩む

などは脾経の異常よることが多い症状です。

「三陰交」は脾経における代表的なツボです。

足の太陰脾経

SP1  隠白(井穴)
SP2  大都(栄穴)
SP3  太白(兪穴・原穴)
SP4  公孫(絡穴)
SP5  商丘(経穴)
SP6  三陰交
SP7  漏谷
SP8  地機(郄穴)
SP9  陰陵泉(合穴)
SP10 血海
SP11 箕門
SP12 衝門
SP13 府舎
SP14 腹結
SP15 大横
SP16 腹哀
SP17 食竇
SP18 天渓
SP19 胸郷
SP20 周栄
SP21 大包

SP1 隠白
SP1 隠白(いんぱく)

 井穴

【位置】足の第1指、末節骨内側、爪甲角の近位内方0.1寸(指寸)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

【主治】腹部膨満、不正子宮出血、癲狂、多夢、小児のひきつけ。

【操作】鍼は直刺で0.1寸。または点刺して瀉血。灸も可。

SP2 大都
SP2 大都(だいと)

 栄穴

【位置】足の第1指、第1中足指節関節の遠位陥凹部、赤白肉際。

【主治】腹部膨満、胃痛、熱病で汗が出ないもの。

【操作】鍼は直刺で0.2~0.4寸。灸も可。

SP3 太白
SP3 太白(たいはく)

兪・原穴

【位置】足内側、第1中足指節関節の近位陥凹部、赤白肉際。

【主治】胃痛、腹部膨満、身体の重い感じ、赤痢、便秘、吐き下し、脚気。

【操作】鍼は直刺で0.5~0.8寸。灸も可。

SP4 公孫
SP4 公孫(こうそん) 

 絡穴

【位置】足内側、第1中足骨底の前下方、赤白肉際。
 ※太白(SP3)から近位に向かって擦上すると陥凹を触れる。第1中足骨底部の遠位陥凹部にある。

【主治】胃痛、嘔吐、腹鳴、腹部脹満、下痢、赤痢。

【操作】鍼は直刺で0.5~0.7寸。灸も可。

SP5 商丘
SP5 商丘(しょうきゅう)

 経穴

【位置】足内側、内果の前下方、舟状骨粗面と内果尖の中央陥凹部。
 ※内果前縁の垂線と内果下縁の水平線の交点にある。
 ※中封(LR4)の後、照海(KI6)の前にある。

【主治】腹鳴、腹部膨満、舌根部のこわばり・疼痛、便秘、下痢、倦怠感があり寝てばかりいるもの、足果部の疼痛。

【操作】鍼は直刺で0.2~0.3寸。灸も可。

SP6 三陰交
SP6 三陰交(さんいんこう)

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後側、内果尖の上方3寸(約9㎝)。
 ※交信(KI8)の上方1寸にある。

【主治】腹部膨満、腹鳴、下痢便、消化不良、月経不順、不正子宮出血、帯下、子宮下垂、無月経、月経痛、不妊症、難産、遺精、陰部痛、疝気、排尿困難、遺尿、下肢麻痺、動悸、不眠症。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

SP7 漏谷
SP7 漏谷(ろうこく)

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後縁、内果尖の上方6寸(約18㎝)。
 ※三陰交(SP6)の上方3寸にある。

【主治】腹部膨満、腹鳴、排尿困難、大腿部・膝部の冷えと麻痺。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

SP8 地機
SP8 地機(ちき)

 郄穴

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内縁の後方、陰陵泉(SP9)の下方3寸(約9㎝)。
 ※内果尖と膝蓋骨尖を結ぶ線上で、膝蓋骨尖から1/3にある。

【主治】腹部脹満、食欲不振、赤痢、月経不順、排尿困難、遺精、浮腫。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可

SP9 陰陵泉
SP9 陰陵泉(いんりょうせん)

 合穴

【位置】下腿内側(脛側)、脛骨内側顆下縁と脛骨内縁が接する陥凹部。
 ※脛骨内側縁に沿って近位へ擦上すると、膝関節の下に陥凹部を触れる。脛骨内側顆下縁と脛骨後縁の角の陥凹部にある。

【主治】腹部膨満、浮腫、黄疸、下痢、排尿困難または失禁、陰部痛、遺精、膝部の疼痛。

【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

SP10 血海
SP10 血海(けっかい)

【位置】大腿前内側、内側広筋隆起部、膝蓋骨底内端の上方2寸(約6㎝)。

【主治】月経不順、月経痛、不正子宮出血、大腿内側部痛、風疹。

【操作】鍼は直刺で0.7~1.2寸。灸も可。

SP11 箕門
SP11 箕門(きもん)

【位置】大腿内側、膝蓋骨底内端と衝門(SP12)を結ぶ線上、衝門(SP12)から1/3、縫工筋と長内転筋の間、大腿動脈拍動部。

【主治】尿閉、遺尿、鼠径部の腫脹・疼痛。

【操作】鍼は直刺で0.8~1.2寸。温灸3~10分。

SP12 衝門
SP12 衝門(しょうもん)

【位置】鼡径部、鼡径溝、大腿動脈拍動部の外方。
 ※曲骨(CV2)と同じ高さ、府舎(SP13)の内下方にある。

【主治】腹痛、疝気、尿閉。

【操作】鍼は直刺で0.5~0.7寸。灸も可。

SP13 府舎
SP13 府舎(ふしゃ)

【位置】下腹部、臍(へそ)中央の下方4.3寸(約13㎝)、前正中線の外方4寸(約12㎝)。

【主治】腹痛、疝気、痞塊。
 ※疝気:腰や下腹の内臓が痛む病気。
 ※痞塊:腹のなかに塊のようなものがあって痛む病気。冷えが原因。

【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。

SP14 腹結
SP14 腹結(ふくけつ)

【位置】下腹部、臍(へそ)中央の下方1.3寸(約4㎝)、前正中線の外方4寸(約12㎝)。

【主治】臍周辺の腹痛、疝気、下痢。

【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。

SP15 大横
SP15 大横(だいおう)

【位置】上腹部、臍(へそ)中央の外側4寸(約12㎝)。
 ※天枢(ST25)、肓兪(KI16)、神闕(CV8)と同じ高さ。それらの外方にある。

【主治】赤痢、下痢、便秘、下腹部痛。

【操作】鍼は直刺0.7~1寸。灸も可。

SP16 腹哀
SP16 腹哀(ふくあい)

【位置】上腹部、臍(へそ)中央の上方3寸、前正中線の外方4寸(約12㎝)。
 ※大横(SP15)の上方3寸、建里(CV11)と同じ高さにある。

【主治】腹鳴、腸鳴、消化不良、便秘、赤痢。

【操作】鍼は直刺で0.7~1寸。灸も可。

SP17 食竇
SP17 食竇(しょくとく)

【位置】前胸部、第5肋間、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※食竇(SP17)、乳根(ST18)、歩廊(KI22)は、第5肋間の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸脇苦満、腹部が膨満し雷鳴のような音のするもの、腹部振水音、翻胃、噯気。
 ※翻胃:朝食べたものを夕方に吐き、夕方に食したものを朝に吐く。
 ※噯気(おくび):胃の中にたまったガスが、口外へ出たもの。げっぷ。

【操作】鍼は斜刺で0.3~0.5寸。肺臓があるので直刺しない。灸も可。

SP18 天渓
SP18 天谿(てんけい)

【位置】前胸部、第4肋骨、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※天谿(SP18)、乳中(ST17)、神封(KI23)は、第4肋骨の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸部膨満、咳嗽、乳部腫瘍、乳汁分泌不全。

【操作】鍼は斜刺で0.3~0.5寸。灸も可。

SP19 胸郷
SP19 胸郷(きょうきょう)

【位置】前胸部、第3肋間、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※胸郷(SP19)膺窓(ST16)、霊墟(KI24)は、第3肋間の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸脇支満、咳嗽。

【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺はしない。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。灸も可。

SP20 周栄
SP20 周栄(しゅうえい)

【位置】前胸部、第2肋間、前正中線の外方6寸(約18㎝)。
 ※周栄(SP20)、屋翳(ST15)、神蔵(KI25)は、第2肋間の曲線に沿って並ぶ。

【主治】胸脇支満、咳嗽。
 ※胸脇支満:季肋部から脇腹が膨満し、圧迫感があって苦しい状態。

【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺は不可。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。灸も可。

SP21 大包
SP21 大包(だいほう)

☆大包:脾の大絡。全身に巡る気血を統括し、臓腑四肢、つまり全身にくまなく滋養をする働きがある経穴。

【位置】側胸部、第6肋間、中腋窩線上。
 ※側臥して上腕を外転したとき、中腋窩線上と第6肋間の交点にある。

【主治】胸脇部痛、喘息、全身の疼痛、四肢の脱力感。

【操作】鍼は①斜刺で0.3~0.5寸。②横刺で0.5~0.8寸。肺臓があるので直刺は不可。集毛鍼(梅花鍼)の叩打なら安全。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です