任脈

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任脈のツボ – 東洋医学における任脈の異常と重要なツボ

「前に任ず」といわれるように、体の前面を引き受けているのが任脈であります。特に任脈は女性の生理と密接な関係にありまして、婦人科の病気によく効くツボが多いのが特徴であります。不妊症や生理異常に任脈のツボが活用されることがあります。

胸骨前面中央にある「膻中」は心臓の機能をコントロールするツボであり、へその下方にある「関元」は活力をつけるツボとされています。

任脈のツボは、前記の「膻中」、「関元」を含めて24穴あります。会陰部の「会陰」から始まって、体の前面を上がり、下あごの「承漿」で終わります。

この経のツボは、全身機能の調節をはかる役割を持っていて、どのツボも重要であります。

任脈のツボ

CV1  会陰
CV2  曲骨
CV3  中極(膀胱募穴)
CV4  関元(小腸募穴)
CV5  石門(三焦募穴)
CV6  気海
CV7  陰交
CV8  神闕
CV9  水分
CV10 下脘
CV11 建里
CV12 中脘(胃募穴)
CV13 上脘
CV14 巨闕(心募穴)
CV15 鳩尾
CV16 中庭
CV17 膻中(心包募穴)
CV18 玉堂
CV19 紫宮
CV20 華蓋
CV21 璇璣
CV22 天突
CV23 廉泉
CV24 承漿

CV1 会陰
CV1 会陰(えいん)

【位置】会陰部、男性は陰嚢根部と肛門を結ぶ線の中点。女性は後陰唇交連と肛門を結ぶ線の中点。
 ※側臥位あるいは膝胸位で、肛門と外生殖器の中央にある。

【主治】排尿・排便困難、痔疾、月経不順、遺精、癲狂、驚癇、溺水による窒息 。

【操作】滅多に使われることはないが、鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。

CV2 曲骨
CV2 曲骨(きょくこつ)

 膀胱募穴

【位置】下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁。

【主治】遺精、インポテンツ、帯下、尿閉、ヘルニア。

【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。妊婦は注意深く治療する。

CV3 中極
CV3 中極(ちゅうきょく)

 小腸募穴

【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方4寸(約12㎝)。

【主治】遺精、遺尿、不正子宮出血、月経不順、帯下、子宮脱・下垂、不妊症、産後の悪露不止、陰部の掻痒症。

【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。妊婦には慎重に用いること。

CV4 関元
CV4 関元(かんげん)

 三焦募穴

【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸(約9㎝)。

【主治】遺尿、遺精、頻尿、月経不順、月経痛、無月経、帯下、不正子宮出血、不妊症、子宮下垂・子宮脱、産後の悪露不止、ヘルニア、下腹痛、下痢、虚労るい痩、中風脱症。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。多壮灸も可。妊婦には慎重に用いる。

CV5 石門
CV5 石門(せきもん)

【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方2寸(約6㎝)。

【主治】不正子宮出血、帯下、無月経、ヘルニア、腹痛、下痢。尿閉、遺尿、浮腫。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。妊婦には用いてはならない。灸も可。

CV6 気海(きかい)

【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方1.5寸(約4.5㎝)。

【主治】不正子宮出血、帯下、月経不順、産後の下血、ヘルニア、遺尿、腹痛、下痢、便秘、浮腫、子宮下垂、中風脱症。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。

CV7 陰交
CV7 陰交(いんこう)

【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方1寸(約3㎝)。

【主治】不正子宮出血、帯下、月経不順、陰部の掻痒、臍部周囲痛、ヘルニア、産後悪露不止。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。

CV8 神闕
CV8 神闕(しんけつ)

【位置】上腹部、臍の中央。

【主治】腹鳴、腹痛、浮腫、鼓脹、下痢、脱肛、中風脱症。

【操作】禁鍼。隔物灸(ショウガ・ニンニク・塩など)。

CV9 水分
CV9 水分(すいぶん)

【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方1寸(約3㎝)。

【主治】腹鳴、腹痛、浮腫、鼓脹、尿閉、嘔吐。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。

CV10 下脘
CV10 下脘(げかん)

【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方2寸(約6㎝)。

【主治】胃痛、腹部膨満、赤痢、腹鳴、嘔吐、消化不良、胃腸虚弱。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。

CV11 建里
CV11 建里(けんり)

【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方3寸(約9㎝)。

【主治】胃痛、嘔吐、腹部膨満、腹鳴、浮腫、食欲不振。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。妊婦は禁灸。

CV12 中脘
CV12 中脘(ちゅうかん)

 胃募穴

【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸(約12㎝)。
 ※胸骨体下端と臍中央との中点にある。

【主治】胃痛、腹部膨満、腹鳴、嘔吐、下痢、赤痢、消化不良、黄疸、胃腸虚弱。

【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。

CV13 上脘
CV13 上脘(じょうかん)

【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方5寸(約15㎝)。

【主治】胃痛、腹部膨満、反胃、嘔吐、癇証。

【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。

CV14 巨闕
CV14 巨闕(こけつ)

 心募穴

【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方6寸(約18㎝)。

【主治】心胸痛、反胃、吞酸、噎膈、悪心、嘔吐、心悸、癲狂、癇証。
 ※噎膈(いっかく):ものを飲み込むときにのどにつかえたり、吐いてしまう症状。

【操作】鍼は下に向けて斜刺で0.5~1寸。灸も可。

CV15 鳩尾
CV15 鳩尾(きゅうび)

【位置】上腹部、前正中線上、胸骨体下端の下方1寸(約3㎝)。

【主治】心胸痛、反胃、癲狂、癇証。

【操作】鍼は下に向けて斜刺で0.5寸。灸も可。

CV16 中庭
CV16 中庭(ちゅうてい)

【位置】前胸部、前正中線上、胸骨体下端の中央。

【主治】胸脇部膨満、嘔吐、反胃、食欲不振。

【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。

CV17 膻中
CV17 膻中(だんちゅう)

 心包募穴

【位置】前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さ。

【主治】気管支喘息、胸痛、しゃっくり、乳汁分泌不全、噎膈。
 ※噎膈(いっかく):ものを飲み込むときにのどにつかえたり、吐いてしまう症状。

【操作】鍼は横刺で0.3~0.8寸。灸も可。

CV18 玉堂
CV18 玉堂(ぎょくどう)

【位置】前胸部、前正中線上、第3肋間と同じ高さ。

【主治】気管支喘息、咳嗽、胸痛、嘔吐。

【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。

CV19 紫宮
CV19 紫宮(しきゅう)

【位置】前胸部、前正中線上、第2肋間と同じ高さ。

【主治】咳嗽、気管支喘息、胸痛、喉痺、咽部の閉塞感。

【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。

CV20 華蓋
CV20 華蓋(かがい)

【位置】前胸部、前正中線上、第1肋間と同じ高さ。

【主治】気管支喘息、咳嗽、胸痛。

【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。

CV21 璇璣
CV21 璇璣(せんき)

【位置】前胸部、前正中線上、胸骨上窩の下方1寸(約3㎝)。
 ※天突(CV22)の下方1寸にある。

【主治】咳嗽、気管支喘息、胸痛、喉痺。

【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。

CV22 天突
CV22 天突(てんとつ)

【位置】前頸部、前正中線上、胸骨上窩の中央。

【主治】気管支喘息、咳嗽、突発性失語症、咽頭部の腫脹・疼痛、横隔膜痙攣、食道痙攣。

【操作】鍼は胸骨の後下方に向けて斜刺1~1.5寸。肺気腫の患者には特に注意。深刺もしてはならない。灸も可。

CV23 廉泉
CV23 廉泉(れんせん)

【位置】前頸部、前正中線上、喉頭隆起上方、舌骨の上方陥凹部。
 ※頚部を軽く後屈すると、下顎骨と甲状軟骨の間に舌骨隆起を触れる。

【主治】舌下の腫脹・疼痛、流涎、舌骨筋麻痺、突発性失語症。

【操作】鍼は横刺で0.5~0.8寸。置鍼はしない。

CV24 承漿
CV24 承漿(しょうしょう)

【位置】顔面部、オトガイ唇溝中央の陥凹部。

【主治】顔面麻痺、顔面腫脹、歯肉炎、歯痛、流涎、癲狂。

【操作】鍼は直刺0.3~0.5寸。灸も可。

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