任脈のツボ – 東洋医学における任脈の異常と重要なツボ
【位置】会陰部、男性は陰嚢根部と肛門を結ぶ線の中点。女性は後陰唇交連と肛門を結ぶ線の中点。
※側臥位あるいは膝胸位で、肛門と外生殖器の中央にある。
【主治】排尿・排便困難、痔疾、月経不順、遺精、癲狂、驚癇、溺水による窒息 。
【操作】滅多に使われることはないが、鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
膀胱募穴
【位置】下腹部、前正中線上、恥骨結合上縁。
【主治】遺精、インポテンツ、帯下、尿閉、ヘルニア。
【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。妊婦は注意深く治療する。
小腸募穴
【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方4寸(約12㎝)。
【主治】遺精、遺尿、不正子宮出血、月経不順、帯下、子宮脱・下垂、不妊症、産後の悪露不止、陰部の掻痒症。
【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。妊婦には慎重に用いること。
三焦募穴
【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方3寸(約9㎝)。
【主治】遺尿、遺精、頻尿、月経不順、月経痛、無月経、帯下、不正子宮出血、不妊症、子宮下垂・子宮脱、産後の悪露不止、ヘルニア、下腹痛、下痢、虚労るい痩、中風脱症。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。多壮灸も可。妊婦には慎重に用いる。
【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方2寸(約6㎝)。
【主治】不正子宮出血、帯下、無月経、ヘルニア、腹痛、下痢。尿閉、遺尿、浮腫。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。妊婦には用いてはならない。灸も可。
【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方1.5寸(約4.5㎝)。
【主治】不正子宮出血、帯下、月経不順、産後の下血、ヘルニア、遺尿、腹痛、下痢、便秘、浮腫、子宮下垂、中風脱症。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。
【位置】下腹部、前正中線上、臍中央の下方1寸(約3㎝)。
【主治】不正子宮出血、帯下、月経不順、陰部の掻痒、臍部周囲痛、ヘルニア、産後悪露不止。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。
【位置】上腹部、臍の中央。
【主治】腹鳴、腹痛、浮腫、鼓脹、下痢、脱肛、中風脱症。
【操作】禁鍼。隔物灸(ショウガ・ニンニク・塩など)。
【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方1寸(約3㎝)。
【主治】腹鳴、腹痛、浮腫、鼓脹、尿閉、嘔吐。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。
【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方2寸(約6㎝)。
【主治】胃痛、腹部膨満、赤痢、腹鳴、嘔吐、消化不良、胃腸虚弱。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。
【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方3寸(約9㎝)。
【主治】胃痛、嘔吐、腹部膨満、腹鳴、浮腫、食欲不振。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。妊婦は禁灸。
胃募穴
【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸(約12㎝)。
※胸骨体下端と臍中央との中点にある。
【主治】胃痛、腹部膨満、腹鳴、嘔吐、下痢、赤痢、消化不良、黄疸、胃腸虚弱。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。灸も可。
【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方5寸(約15㎝)。
【主治】胃痛、腹部膨満、反胃、嘔吐、癇証。
【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。
心募穴
【位置】上腹部、前正中線上、臍中央の上方6寸(約18㎝)。
【主治】心胸痛、反胃、吞酸、噎膈、悪心、嘔吐、心悸、癲狂、癇証。
※噎膈(いっかく):ものを飲み込むときにのどにつかえたり、吐いてしまう症状。
【操作】鍼は下に向けて斜刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】上腹部、前正中線上、胸骨体下端の下方1寸(約3㎝)。
【主治】心胸痛、反胃、癲狂、癇証。
【操作】鍼は下に向けて斜刺で0.5寸。灸も可。
【位置】前胸部、前正中線上、胸骨体下端の中央。
【主治】胸脇部膨満、嘔吐、反胃、食欲不振。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。
心包募穴
【位置】前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さ。
【主治】気管支喘息、胸痛、しゃっくり、乳汁分泌不全、噎膈。
※噎膈(いっかく):ものを飲み込むときにのどにつかえたり、吐いてしまう症状。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.8寸。灸も可。
【位置】前胸部、前正中線上、第3肋間と同じ高さ。
【主治】気管支喘息、咳嗽、胸痛、嘔吐。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】前胸部、前正中線上、第2肋間と同じ高さ。
【主治】咳嗽、気管支喘息、胸痛、喉痺、咽部の閉塞感。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】前胸部、前正中線上、第1肋間と同じ高さ。
【主治】気管支喘息、咳嗽、胸痛。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】前胸部、前正中線上、胸骨上窩の下方1寸(約3㎝)。
※天突(CV22)の下方1寸にある。
【主治】咳嗽、気管支喘息、胸痛、喉痺。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】前頸部、前正中線上、胸骨上窩の中央。
【主治】気管支喘息、咳嗽、突発性失語症、咽頭部の腫脹・疼痛、横隔膜痙攣、食道痙攣。
【操作】鍼は胸骨の後下方に向けて斜刺1~1.5寸。肺気腫の患者には特に注意。深刺もしてはならない。灸も可。
【位置】前頸部、前正中線上、喉頭隆起上方、舌骨の上方陥凹部。
※頚部を軽く後屈すると、下顎骨と甲状軟骨の間に舌骨隆起を触れる。
【主治】舌下の腫脹・疼痛、流涎、舌骨筋麻痺、突発性失語症。
【操作】鍼は横刺で0.5~0.8寸。置鍼はしない。
【位置】顔面部、オトガイ唇溝中央の陥凹部。
【主治】顔面麻痺、顔面腫脹、歯肉炎、歯痛、流涎、癲狂。
【操作】鍼は直刺0.3~0.5寸。灸も可。
「前に任ず」といわれるように、体の前面を引き受けているのが任脈であります。特に任脈は女性の生理と密接な関係にありまして、婦人科の病気によく効くツボが多いのが特徴であります。不妊症や生理異常に任脈のツボが活用されることがあります。
胸骨前面中央にある「膻中」は心臓の機能をコントロールするツボであり、へその下方にある「関元」は活力をつけるツボとされています。
任脈のツボは、前記の「膻中」、「関元」を含めて24穴あります。会陰部の「会陰」から始まって、体の前面を上がり、下あごの「承漿」で終わります。
この経のツボは、全身機能の調節をはかる役割を持っていて、どのツボも重要であります。