上肢部
【位置】両手の十指の先端で、指爪甲を1分離れたところ。全部で10穴。
【主治】高熱、熱中症、昏迷、中風、咽喉炎、指端の感覚麻痺、パーキンソン病。
【操作】鍼は点刺して出血させる。あるいは0.2~0.3寸浅刺する。灸も可。
【位置】手掌側の示指・中指・薬指・小指の近位指節関節横紋の中点。全部で8穴。
【主治】小児のヒステリー、小児消化不良、下痢、回虫症。
【操作】鍼は三稜鍼で点刺。てい鍼。灸も可。
【位置】5指手背の中手骨頭で、第1・2指間を大都、第2・3指間を上都、第3・4指間を中都、第5・4指間を下都という。
【主治】手と前腕の腫脹・疼痛、手指の知覚麻痺、歯痛(大都)。
【操作】鍼は軽く手を握り、掌側骨間に向けて斜刺で0.5~0.8寸。あるいは点刺出血させる。
【位置】手背の第1・2中手骨間で、老宮穴と相対するところ。
【主治】寝違い、項頸部のこわばり痛み、手指の感覚麻痺。
【操作】鍼は直刺、あるいは前腕に向けて0.5~1寸。灸も可。
【位置】手背横紋の中点から上がること1寸(約3㎝)で、橈側に向かって4分のところ。
【主治】ショック、心臓衰弱。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】前腕外側の陽谿穴と陽池穴の間、総指伸筋腱の橈側の陥凹部。
【主治】胸・肺部の膨満感、目翳、掌熱、胃気上逆、唾血、腹中気痛、腕痛、手根部背部の腱鞘腫大。
※目翳(もくひ):ひとみに翳(くもり)が生じ目が見えなくなる病気。
※胃気上逆(いきじょうぎゃく):下降すべき胃気が逆に上昇する病態。 悪心、嘔吐、ゲップを主症状とする。
【操作】鍼は直刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】手背の第2・4中手骨骨頭の先端にある。左右合わせて4穴。
【主治】手指の拘縮・けいれん。
【操作】灸法を用いる。
【位置】前腕内側で、長掌筋と橈側手根屈筋との間、手関節横紋と肘関節横紋を結ぶ線の中点にある。
【主治】ヒステリー、前腕痛、けいれん、麻痺。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】前腕内側正中線上で、郄門穴の上3寸(約9㎝)。
【主治】喀血、乳腺炎、胸膜炎、心臓弁膜症。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。あるいは皮下に置鍼(皮内鍼)。
【位置】肩部の前腋窩横紋頭の上方、肩鎖関節内側の陥凹部と前腋窩横紋頭を結ぶ線の中点。
【主治】肩腕痛、上肢関節痛、知覚麻痺、片麻痺。
【操作】鍼は腕を垂らし、直刺あるいは肩関節に向けて斜刺で1.5寸。灸も可。
【位置】上腕外側の肩峰直下、前腋窩横紋頭と同じ高さで上腕骨後縁。
【主治】湿疹、蕁麻疹、アレルギー性皮膚炎。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。
下肢部
【位置】解谿穴の上2寸(約6㎝)、脛骨前縁外側1横指のところ。
【主治】尖足、頭暈、嗜眠。
【操作】鍼は直刺で1~1.5寸
【位置】陽陵泉穴の下約1寸(約3㎝)の過敏点。
【主治】脇痛、下肢の萎縮・麻痺、胆嚢炎、急性胆道疾患、急性胆嚢炎、胆石症、胆道回虫症、慢性胆嚢炎の急性発作、胆疝痛。
【操作】鍼治療で常に良い効果を奏する。
【位置】足三里穴の下2寸(約6㎝)ばかりの圧痛点。
【主治】腸廱、下肢の萎縮・麻痺、急・慢性闌尾炎(虫垂炎)。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。
【位置】膝関節部前面で、膝蓋靭帯両側の陥中にある。ひざを曲げて取穴する。左右合わせて4穴ある。
【主治】膝部腫痛、膝関節運動障害、下肢痛、脚気。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】陽陵泉穴の後で、腓骨頭後縁の下方の陥凹部。
【主治】下肢麻痺、腓骨神経痛、膝関節炎。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。
【位置】足の5趾の接合部で、左右合わせて8穴。
【主治】マラリア、頭痛、歯痛、月経不順、毒蛇咬傷、足背部の腫脹・疼痛。
【操作】鍼は直刺で0.1~0.3寸。灸も可。
【位置】臀横紋(臀溝)と膝窩横紋とを結ぶ中点の外方に5分ばかり寄ったところ。
【要点】胃や子宮などのがん診断で用いる。その場合、圧痛が強く出る。胃・子宮がんの発見率が高い。
【位置】膝蓋骨上で内側角から3寸(約9㎝)上のところ。
【主治】皮膚搔痒症、風疹、回虫症。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。
【位置】内果尖の上2寸(約6㎝)。
【主治】肝炎。
【操作】鍼は直刺で1~2寸。
頭頚部
【位置】百会穴の前後左右各々離れること1寸(約3㎝)のところ。4穴。
【主治】中風、片麻痺、頭痛、片頭痛、めまい、癇癪、不眠、健忘症。
【操作】鍼は直刺で0.1~0.3寸。灸も可。
【位置】両眉頭を結ぶ中点。
【主治】マラリア、頭痛、めまい、嘔吐、片麻痺、顔面神経麻痺、小児の急・慢性のひきつけ、口や眼のゆがみ、頭・顔面部の疔、鼻茸、子癇、三叉神経痛、高血圧、ノイローゼ。
【操作】鍼は横刺で0.3~0.5寸。上から下に向けて、皮膚をつまんで刺入するか、あるいは左右の攅竹、睛明に透刺する。灸も可。
【位置】眉尻と外眼角とを結んだ線の中点から後外方に約1寸(約3㎝)の陥凹部。
【主治】頭痛、片頭痛、頭暈、眼の発赤・腫脹・疼痛、歯痛、三叉神経痛、ノイローゼ、視神経萎縮、網膜出血、顔面神経麻痺。
【操作】鍼は①直刺で0.2~0.3寸。②下に向けて斜刺1~1.5寸。③点刺出血。
【位置】眼窩下縁の外方4分の1と4分の3の境。
【主治】中心性網膜炎、視神経炎、視神経萎縮、緑内障、初期の白内障。
【操作】鍼は軽く眼球を眼底に向けて押し、眼底の方向にゆるやかに直刺で0.5~1寸。雀啄はしない。
【位置】鼻腔内で、外側後上部の粘膜にある。
【主治】熱中症、熱射病、目睛暴痛、暴盲、鼻疾患、喉痺、眩暈。
※目睛暴痛:眼球の急性の痛み。
※暴盲:突発性の失明で、多くの場合、肝気上逆、気滞血瘀、元気大虚によっておこる。
【操作】点刺して出血させる。ただし、出血性素因のあるものにはしない。
【位置】耳垂の前方5分で、耳垂の中点と同じ高さにある。
【主治】顔面神経麻痺、潰瘍性口内炎。
【操作】鍼は切皮後、前方に向けて斜刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】口腔内頰粘膜上で、口角より1寸(約3㎝)離れた口角と同じ高さ。
【主治】黄疸、口疳、歯肉びらん、顔面神経麻痺。
※口疳:小児の口舌に瘡が生じるもの。湿熱が内蘊し、胃陰が不足することによって起こる。
※湿熱内蘊(しつねつないうん):過剰な水分と熱が体に滞っている状態のこと。
【操作】鍼は舌根部に向けて斜刺で0.5~1.2寸。
【位置】甲状軟骨と環状軟骨との間の陥凹部。
【主治】舌筋運動障害、言語障害、聾啞、流涎、舌潰瘍、急・慢性咽頭炎、ヒステリー性失語症。
【操作】鍼は舌根に向けて斜刺で0.5~1.2寸。
【位置】鎖骨上窩中央から鎖骨内側への中点。すなわち欠盆穴と気舎穴の中間点。
【主治】上肢麻痺、上肢の神経痛、肩・上肢のリウマチ、上肢の筋委縮。
【操作】鍼は浅刺で0.2寸ほど。
【位置】天容穴と天窓穴との間にある。
【主治】頸痛による運動困難、胸背部の運動困難、めまい。
【操作】鍼は舌根部に向けて斜刺で0.5~1.2寸。
【位置】耳珠下端と後髪際の正中を結んだ中点から前方へ約5分ほどのところ。
【主治】精神性疾患
【操作】鍼は直刺で0.3~0.6寸。毎回片側を刺鍼し、左右交互に使用する。
【位置】左頸部の胸鎖乳突筋の後縁で、乳様突起に近い10分の3のところにある。
【主治】頸神経痛、全身神経痛、リウマチ性疾患、頸部筋肉痙攣、関節炎、片麻痺。
【操作】鍼は芒針を使用し、軽く撚鍼しながら2寸ほど刺入する。刺入後、電気に触れたような、またはだるい、しびれたような感覚が下肢に向かって放散する。
※高血圧症、心臓疾患及び体質虚弱者に用いてはならない。
【位置】胸鎖乳突筋の停止部で、乳様突起の下の陥凹部の前方5分のところにある。ほぼ翳風穴と翳明穴(奇穴)との間。
【主治】精神分裂症、不眠症、片頭痛。
【操作】鍼は直刺で1.5~2寸。
【位置】胸鎖乳突筋の停止部で乳様突起の下方。ほぼ翳風穴の後方1寸(約3㎝)にある。
【主治】視神経萎縮、白内障の初期、若年性近視、夜盲症、めまい、耳鳴、不眠症、精神性疾患。
【操作】鍼は直刺で0.5~1.2寸。
胸腹部
【位置】臍の上方2寸(約6㎝)のところから両側に4寸(約12㎝)。
【主治】胃下垂症、腹部膨満。
【操作】鍼は臍あるいは天枢穴にむけて斜刺で1~2寸。
【位置】臍の下3寸(約9㎝)のところから、左右に各々4寸(約12㎝)外側。
【主治】子宮下垂、下腹部痛、鼡径ヘルニア、月経痛、腹部膨満、腎臓下垂。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】臍の下3寸(約9㎝)のところから外側に3寸。
【主治】女性の不妊症、悪露不止、淋証(膀胱炎)。
【操作】鍼は直刺で0.5~1.5寸。灸も可。
【位置】臍下3寸(約9㎝)のところから左右4寸(約12㎝)。
【主治】女性の不妊症、不正子宮出血。
項背腰仙部
★労は癆と同意義。癆は現在でいう結核性疾患を指す。本穴は多種の「癆病」を治す穴。
【位置】大椎穴の上2寸(約6㎝)のところから外側に各々1寸(約3㎝)。
【主治】産後の全身疼痛、結核性頸部リンパ腺炎、咳嗽・喀血、百日咳、肺結核、マラリア、虚損、後頭・項部の痙攣と捻挫・挫傷。
※虚損:疾病が長く続き消耗してきた状態を虚といい、虚が長く続いて好転しないことを損という。慢性の消耗性疾患を広く指す。
【操作】鍼は直刺で0.3~0.6寸。灸も可。
【位置】第6・7頸椎棘突起の間で、左右に2寸(約6㎝)のところ。
【主治】高血圧症、低血圧症。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】第7頸椎棘突起と第1胸椎棘突起との間で外側へ5分(約1.5㎝)のところ。
【主治】咳嗽、喘息、気管支炎、寝違え、上肢麻痺、上肢の疼痛、背部痛、じんましん、百日咳。
【操作】鍼は直刺で0.5~1寸。灸も可。
【位置】第2胸椎棘突起の下。
【主治】癲狂、てんかん。
【操作】鍼は直刺で0.3~1.5寸。灸も可。
【位置】第4胸椎棘突起の下。
【主治】胸脇苦満、気管支炎、喘息、心臓疾患、肋間神経痛。
【操作】鍼は直刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】第8胸椎棘突起の下。
【主治】マラリア、糖尿病、咽喉の乾き。
【操作】鍼は直刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】第12胸椎棘突起の下。
【主治】脱肛、消化不良、癲癇、胃痙攣、結核性頸部リンパ腺炎、小児の下痢。
【操作】鍼は直刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】第8胸椎棘突起の下、外方1.5寸(約4.5㎝)のところ。
【主治】糖尿病、咽喉の乾き、嘔吐、腹痛。
【操作】鍼は斜刺で0.3~0.5寸。灸も可。
【位置】正中線骨稜第2棘下の陥凹部。
【主治】癇癪、頭痛。
【操作】鍼は上に向けて横刺で1~1.5寸。灸も可。
【位置】第2腰椎棘突起上方の陥凹部。
【主治】血便、鼻出血、嘔吐など一切の出血性疾患。
【操作】灸。
【位置】直立して脊柱両側のかすかにくぼむところ。おおよそ第4腰椎棘突起の外側3.8寸(約11.5㎝)に当たる。
【主治】肺結核、腎虚腰痛。
【操作】鍼は直刺で1~1.5寸。灸も可。
【位置】第1胸椎棘突起から第5腰椎棘突起までで、各々の棘突起の下、両側に0.5寸(約1.5㎝)離れたところ。
【主治】脊椎各部位の関節疾患、各臓器の疾患などの治療に用いる。
※上胸部の夾脊穴は心臓や肺臓の疾患、上肢の病症。
※下胸部の夾脊穴は胃腸疾患。
※腰部の夾脊穴は腰部や腹部、下肢の疾患。
上肢部
下肢部
頭頚部
胸腹部
項背腰仙部