経絡・経穴 ー鍼灸治療の重要なツボ
ー位置と効能
【目次】
1.正穴
2.経穴(つぼ)とは?
・経穴について
3.つぼの探り方・押し方
・症状のある場所からツボをとる方法
・症状から離れた場所にツボをとる方法
・ツボの押し方の一例
4.五行穴とは?
・五行穴の特徴
・五行の配当
・各段階の意味
・五行穴の治療への応用
正穴
- 手の太陰肺経(11穴)
- 手の陽明大腸経(20穴)
- 足の陽明胃経(45穴)
- 足の太陰脾経(21穴)
- 手の少陰心経(9穴)
- 手の太陽小腸経(19穴)
- 足の太陽膀胱経(67穴)
- 足の少陰腎経(27穴)
- 手の厥陰心包経(9穴)
- 手の少陽三焦経(23穴)
- 足の少陽胆経(44穴)
- 足の厥陰肝経(14穴)
- 督脈(28穴)
- 任脈(24穴)
経穴(つぼ)とは?
経穴について
経穴(腧穴、正穴ともいいます)は、人体の特定の部位に存在し、鍼灸治療に使われる重要なポイントです。
腧穴とは、十二経脈に奇経八脈の内の督脈と任脈を加えた十四経脈に属するツボを指します。また、十四経脈上の正規の位置にある正穴(経穴)とも呼ばれます。
腧穴(または輸穴)という言葉は、経穴と同様に経脈上の特定の刺激点を意味し、広義では経脈上にない刺激点も含まれます。
その数は、『霊枢1』九鍼十二原に「節の交わり三百六十五会」と記されていますが、現在ではWHO2(世界保健機構)により361穴が承認されています。
鍼灸治療で使用される刺激点は、経脈上の点だけでなく、特定の指で押すことで痛みや快感を感じる阿是穴なども含まれます。
つぼの探り方・押し方
ツボを刺激する方法を選ぶ過程は非常に複雑ですが、一般の方でも行える方法をご紹介します。
症状のある場所からツボをとる方法
症状のある場所を軽く押してみて、①痛い、②気持ちがいい、③症状が再現するなどの反応がある、「そこだ!」と思えるところにツボを取ります。その場所が筋肉であれば、親指あるいは中指で押すか、指でつかむようにもみます。関節などの部位はなでる程度で構いません。
気持ちがいいと感じる程度の強さで5分くらいを目安に刺激をしますが、刺激に過敏な人には、押す力を弱くしたり、押す時間を短くしたりします。ツボを刺激して循環が良くなると症状は改善します。しかし、刺激することで悪化することもあります。発赤・熱感・腫れがあるとき、痛みが激しいとき、押すと強く痛みを感じるとき、皮膚に異常があるときなどは、刺激を与えることはやめましょう。
症状から離れた場所にツボをとる方法
これは経絡の理論を利用する方法です。痛みなどの症状が、十二経脈のうち、どの経絡上にあるか判断できれば対処が可能です。経絡上の二つほどのツボを押して、痛みが楽になったり、症状のある手足などが動かしやすくなったりする側のツボを刺激します。
ツボの押し方の一例
・指先で軽く押す
・円を描くようにマッサージをする
・一回の刺激は30秒から1分程度
五行穴とは?
五行穴は、東洋医学における経穴(ツボ)の分類の一つで、経脈上にある経穴を五行(木・火・土・金・水)に対応させて名付けたものです。「五兪穴」や「五輸穴」とも呼ばれます。
五行穴の特徴
五つの状態を表す:各経穴は、気の流れる状態を井(せい)、滎(けい)、兪(ゆ)、経(けい)、合(ごう)の五つの段階に分け、それぞれに五行を対応させます。
経脈の流れを示す:五行の順序は、陰経と陽経で異なり、経脈上の気の流れる方向を示します。
治療効果:各経穴は、対応する五行の臓腑や経脈に作用し、様々な症状の治療に用いられます。
五行の配当
陰経:木→火→土→金→水
陽経:金→水→木→火→土
各段階の意味
井:木の芽が出るように、気が最初に現れる状態
滎:水が流れるように、気が盛んに流れる状態
兪:気が背部の兪穴に達し、体表に現れる状態
経:気が経脈を巡り、本経の気が最も盛んな状態
合:気が末端に達し、他の経脈に合流する状態
五行穴の治療への応用
五行穴は、その特徴から、様々な症状の治療に用いられます。例えば、
- 井穴:急性の痛みや熱、炎症などに効果がある
- 滎穴:発熱、痛み、出血などに効果がある
- 兪穴:背部の痛み、咳、喘息などに効果がある
- 経穴:本経の病気を治療する
- 合穴:邪気を散らす、痛みを止めるなどの効果がある
- 『霊枢(れいすう)』は、中国最古の医学書である『黄帝内経(こうていだいけい)』を構成する2つの書物の1つで、実践的な記述が特徴です。 ↩︎
- WHO(World Health Organization)とは、国連の専門機関である世界保健機関を指します。グローバルな保健問題に取り組み、加盟国への技術支援や健康志向の監視・評価などを行っています。https://www.who.int/ ↩︎